以前、とても印象的な出来事がありました。開館中、たまたま館内を歩いていて聞こえてきた会話です。
「いやぁ~やだぁ~腸が出ちゃっているみたい~(悲鳴)」
えぇぇ!? 私はすぐさま会話が聞こえてきたほうに目をやりました。
そこにあったのはクラゲ水槽でした。
どうやら、口腕(こうわん)の長いクラゲを見て、そう見えてしまったようです。
今まで、どちらかというと、長くたなびく口腕は、きれいで優雅など、好印象をもってもらえていると思っていたので、そんな見方もあるのかと、とても驚きました。
この口腕、クラゲならではのものになります。くちのうでと書いて、こうわん。
字のごとく、口から伸び、エサを口に運ぶものです。長さや形状も、種類によってさまざまで、短いもの、長いもの、フリフリしているもの、ネジネジしているもの、ドレスのようになっているもの、そして、木の根っこみたいになっているものなど。(ぜひ、どのクラゲの口腕のことをいっているのか探してみてください。よく見ると、違いに気付けます。)
この口腕が木の根っこみたいになっている種類は、根口クラゲの仲間です。現在、えのすいで展示しているものでいうと、ビゼンクラゲ、タコクラゲ、サカサクラゲ、ブラウンドットジェリー、ブルージェリー、フィロリーザ・プンクタータ、コティロリーザ・ツベルクラータ、そして、リクノリーザ・マライエンシスです。リクノリーザは、“えのすい”初展示となります。ここ最近、初展示が続いています。
根口クラゲの仲間は、丸っこいフォルムのものが多く、ポコポコ動く姿がかわいらしいので私も好きなのですが、育成に苦戦するものが多いです。より多くの種類を、より長く展示できるよう頑張っていきますので、乞うご期待を。