2018年12月17日
トリーター:岩崎

ソウシハギ

先日ソウシハギが話題になりました。
カワハギに似ていますが、内臓に猛毒を蓄えている場合があるので、注意が必要です。

体の表面は全体的に黒い水玉模様で、きれいな青い線や点が入っていることで、近縁種のカワハギの仲間と見分けることができます。
ほうきのような大きな尾びれと、上向きに開いた口に、鋭く尖った歯があることも特徴的です。
この鋭い歯で削ぎ取って食べることができるので、サンゴのような姿で硬い、イワスナギンチャクの仲間を食べることができます。
このイワスナギンチャクの仲間に、猛毒パリトキシン様の毒性があって、ソウシハギはこの毒を内臓に蓄える性質があるようです。

何でも食べる雑食性の魚で、釣り餌も食べに来ることがあります。
筋肉には毒性が無いとされていて、沖縄では身が食用にされることもあるそうです。
食べ物由来の毒なので、内臓の毒性も個体差や地域差があるようです。
ただ、さばく時に内臓を傷つけて身に毒がまわる危険性や、同じ性質の毒を蓄えるアオブダイやハコフグなどでは、筋肉にも毒を蓄えている例があることから、釣れた時にはより安全を見越して食べない方が無難でしょう。

ソウシハギの主な生息域は、沖縄や奄美地方、本州では九州南部から四国、紀伊半島より南の暖かい海域です。
大きな個体は 80~ 100cmくらいにまで成長するので、カワハギの仲間では大型の種類です。
15~ 30cmくらいの幼魚は、黒潮に乗って北上して、毎年夏から秋にかけて相模湾や房総半島にも現れます。
また、対馬暖流に乗って日本海側を北上し、ごくまれに北海道でも見つかることがあります。
大きな木の葉のような形をした扁平な体つきと、ほうきのような大きな尾びれは、海藻や流木などといっしょに、海面を漂うことに適しているようです。
海流を利用した長旅に適した体の形なので、ソウシハギが好む海水温が高い季節は、全国的に出会う可能性がある魚といえます。

ソウシハギは、猛毒があるからといって悪い魚ではありません。
鋭く尖った歯に注意が必要ですが、触っても大丈夫です。
模様がきれいで、泳ぐ姿はとてもユニークでかわいい魚なので、むやみに嫌ったり、雑に扱ったりしないようにしていただければと思います。

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