2018年12月18日
トリーター:伴野

「ルイ」の見ている世界

みなさん、こんにちは。
本格的な寒さになってきましたね。
ショースタジアムメンバーのウェットスーツも長袖組が増えてきました。
私は着たり着なかったり、です。
ちなみに本日は暖かかったので半袖ウェットスーツでしたが寒くなかったです。
普段は寒さが苦手な私ですが、ウェットスーツを着ていると寒さに強くなれる気がします。
不思議なものです。

さて、先日イルカの気持ちが分かりたいなぁと思ってあることをやってみました。
題して「ルイの気持ちになってみよう!」
(「ルイ」は、ショーで活躍しているバンドウイルカです。)

最近、イルカたちがどれだけ眼で物を見ているかをみなさんに伝えたいと思ってショーの中でおこなっていることがあります。

それはショースタジアム観客席にある階段を登って離れた位置から「ルイ」にジャンプなどの合図を出すこと。

最近、だいぶできるようになってきました。
・・ですが、なぜか夕方になると成功率が落ちるんです。

動物とうまくトレーニングが進まない時はまず大きく 3つの原因を考えます。

(1)健康面: 体調が悪くないか判断
(2)人のやり方やトレーニング方法: 動物にとって分かりやすく伝えているか
(3)周囲の環境: 動物にとって動きやすい環境かどうか

ふむふむ、まず健康面。体温も問題なく、他の動きも良好なので問題なし。
続いて、人のやり方。日中は比較的じょうずにできるようになってきた。もちろんトレーニングのやり方にまだまだ改善の余地はあるが、夕方のみ反応が極端に鈍くなるのは他に原因が?
最後に周囲の環境。アクリル越しに僕たちを見てくれているので、アクリル面の汚れや照明の影響で見えづらいのか?

思い立ったら検証してみよう!!!


アクリルで合図が出るのを待つ「ルイ」になってみました。
さて、夕方のルイにはショースタジアムはどのように見えているのか・・・

結果はこれです!!


見辛っ!!!!
これは思っていた以上に見えないですね。
アクリル面の汚れやら、照明やらで合図どころじゃないです。
よく見るとトリーターが 2名立っているのが見えるでしょうか?
(検証に付き合ってくださったA山トリーターと、なぞの検証に気付き見に来たK登岡トリーターです。)


汚れがひどかったのでアクリルから少し離れてみました。やはり照明が大分眩しいですね。

検証の結果、夕方以降は離れて合図を出しても見えにくく、「ルイ」にとって不親切であることが分かりました。検証なんてしなくても分かるかもしれませんが、見えにくさは想像以上でした。

ちなみにこんなこともやってみました。


声を聞かせてね、の合図と、


口を開けてね、の合図
トリーターが出す合図のわずかな違いでもしっかりと水中から見てくれているんですね。

僕たちが使っている合図は、言葉の伝わらない動物たちに思いを伝えるためにとても大切なコミュニケーションツールです。改めて、イルカたちに分かりやすく丁寧に合図を出す大切さに気付きました。

今回、イルカの目線になってみて普段、「ルイ」が見ている世界が少しだけ分かったような気がします。相手の立場になってみるということはとても大切ですね。
(日も沈んだ閉館後、コケ取りをしてびしょ濡れになりながらも付き合っていただいたA山トリーター、本当にありがとうございました。)

これからも目の前の動物が今、何を見て、何を感じているか、考えているか、を理解できるトリーターを目指していきます。

トレーニングに迷った時は動物の目線になってみるぞー!!

それでは、本日はこの辺で!

きずな/kizuna

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