2009年07月29日

沖縄トラフ・伊平屋北熱水活動域及び鳩間海丘(3)7月29日 いよいよ初潜航

  • 期間:2009年7月27日~2009年8月8日
  • 場所:沖縄トラフ・伊平屋北熱水活動域及び鳩間海丘
  • 目的:深海生物調査
  • 担当:伊藤


航海が始まって3日目、ついに「ハイパードルフィン」潜航の機会がやってきました。
無人探査艇「ハイパードルフィン」は船上からのコントロールにより精密な作業をおこなえる巨大なラジコンのようなメカで、最大3000mまで潜ることができます。
無人であるため、有人潜水船と比べて海況の悪化に強く、コントロールルームで運航チームと研究者が相談しながら海底の様子を観測、調査できる利点があります。

今回の潜航場所は西表島の北部にある「鳩間海丘」です。
海上にはカツオドリが楽しそうに飛んでいます。
この真下に 300℃を超える超熱水がわんわんと湧き出す海底があるとは想像もつきません。
どんな生物が暮らしているのか、楽しみです。

1400m以上潜ったところで、昨年、伊是名海穴で見たような光景が飛び込んできました。
無数の白い点々、ゴエモンコシオリエビの大群です。
ハイパードルフィンのスラープガン(水中掃除機)によって、生きたゴエモンを採集することができました。
幸先良好です。
辺りの岩からはもくもくと熱水のゆらぎが見て取れます。
ゴエモンコシオリエビは自分の体毛の上で細菌を「栽培」して食べるらしいです(水族館ではイカのコマ切りを食べたという未確認情報もありますが・・・ )。
熱水に含まれる物質がその細菌の糧となることが知られており、研究者の目的の一つは、この体毛の細菌をさらに詳しく調べることにあります。
水族館ではそうした実験に供された後の個体を生かして持ち帰ることなのですが、今回はもう一つ独自のネタを仕込もうと目論んでいます。
詳しいことについては、また今度ということできょうの日誌を終わります。

[きょうの写真]
上/「腕」に取り付けられた「水中掃除機」
下/採れたてゴエモンコシオリエビ

(C)JAMSTEC(C)JAMSTEC

(C)JAMSTEC(C)JAMSTEC


海洋研究開発機構(JAMSTEC)NT09-11「なつしま/ハイパードルフィン」による沖縄トラフ・伊平屋北熱水活動域及び鳩間海丘における深海調査航海

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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