2010年07月03日

相模湾沿岸(2)落とし穴の成果

  • 期間:2010年7月1日~8月31日に適宜
  • 場所:相模湾沿岸
  • 目的:海浜昆虫の観察と採集
  • 担当:伊藤


ただいま朝の6時45分です。
水族館に行く途中に海岸に寄り、きのう仕掛けた落とし穴を回収します。
わざわざ早起き(私にとっては・・・ )してまで朝にしたのは理由があります。
実は砂浜というのは小さな昆虫にとっては沙漠と同じです。
雨水や朝露は太陽が昇るとすぐに蒸発し、砂の表面は灼熱にさらされます。
本来ならば砂に潜ったり植物の陰に逃げ込める虫たちですが、落とし穴の中ではなすすべもなく蒸しあがってしまいます。
そうなる前にトラップを回収するのです。

まず出てきたのは黒くて硬くて丸っこい「スナゴミムシダマシ」。動きはきわめて遅く、もそもそ歩きます。
サイのような質感の地味なやつですが、あの「砂漠で逆立ちして水滴を集める昆虫」の仲間です。
日本の沙漠こと砂浜で、どんな暮らしをしているのかは不明ですが、夜行性であることは確かです。10個体以上採集されました。

その脇に「ハマダンゴムシ」が1個体丸まって入っていました。
以前、ダイオウグソクムシとの比較として、深海コーナーで展示したことがあります。
意外と飼うのが難しかった記憶があります。
本種の魅力は何といってもダンゴムシ離れした「つぶらな瞳」です。昆虫ではありませんが、このかわいらしさをぜひご覧いただきたいです。

よーく見るとハマダンゴムシの下で砂粒が動いています・・・ と思ったら何と昆虫でした。
「ハマヒョウタンゴミムシダマシ」。
大きさ 3~ 4mmしかありませんが、形は立派に昆虫です。
ヒョウタンのようにくびれた白い体に黒の十字架模様が入り、なかなかおしゃれです。
今度のテーマ水槽では、微小な虫たちも工夫して何とかご覧いただけるようにしたいです。

さて、仕掛けた落とし穴は全部で 12個。
まだまだあります。
他には何が採れているのでしょうか?

サイやゾウのような質感のスナゴミムシダマシサイやゾウのような質感のスナゴミムシダマシ

つぶらな瞳のハマダンゴムシつぶらな瞳のハマダンゴムシ

砂粒みたいなハマヒョウタンゴミムシダマシ砂粒みたいなハマヒョウタンゴミムシダマシ

テーマ水槽

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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