2011年06月19日

初島~水曜海山(4)なつしま航海日誌 5日目 / 杉村

  • 期間:2011年6月15日~2011年6月26日
  • 場所:相模湾・明神海丘・水曜海山
  • 目的:相模湾(初島沖)、伊豆小笠原孤(明神海丘、水曜海山)調査
  • 担当:杉村・根本


航海5日目です。
自分のいる青い海の 1,400m下の暗く深い深海に、熱水が噴き上がっているとはとても想像がつかないくらいいい天気です。

きょうは水曜海山、潜航深度は 1,400m付近を目指します。海底まではゆっくりゆっくりと潜航して、1時間近くかかります。
海は海面近くではとてもきれいな青色をしていますが、次第に色を失っていきます。
途中、時折クラゲの仲間が下から上へ過ぎ去っていきます。そうこうしているうちに 1,400mの海底へ。

明神海丘は、熱水噴出口のイラストなどでよく見る煙突のようなチムニーをたくさん見せてくれましたが、ここ水曜海山はちょっと違う姿をしています。
数 10cmほどの小型チムニーが多く、熱水噴出口から噴き出た硫化物やさまざまな物質で作られたと思われる小さな島のようなものが点在しています。
私の中の深海のイメージがちょっと変わった瞬間です。
小さな島の上には、多くのシチヨウシンカイビバリガイが大きなコロニーをつくっています。
しかもここ水曜海山のシンカイヒバリガイは白いバクテリアマット(バクテリアの集まり)で貝全体が覆われて真っ白です。
ちょっと見では、岩なのか貝なのか分かりません。
そこもまた、明神海丘とは違うところですね。
貝と貝の隙間にはユノハナガニやオハラエビの仲間が隠れ棲み、周りにコンゴウアナゴやソコダラの仲間などがちらほら姿を見せてくれます。

噴き出る硫化水素などは私たち人間にとってはとても有害なものですが、深海の生き物たちはその硫化水素をバクテリアの力を借りて利用し、生活しています。
深海生物って本当に不思議ですね。
この生き物たちの不思議をこの調査航海で解明しようと、多くの研究者が参加しています。
みなさん揺れる船の中で夜遅くまで研究実験されてますよ。

えのすい深海コーナーでもこの航海で見て得たことや疑問を研究し、水槽に表現していきたいと思っています。
もっともっと深海のことをたくさん多くの人に知ってもらいたいですね。

さあ~て、まだまだ半分ちょっと航海が残っています。
がんばりましょう!
あしたは回航日、きのうときょうのデータ整理でもしようかな。

それでは、また次回・・・。

(C)JAMSTEC(C)JAMSTEC


海洋研究開発機構(JAMSTEC)NT11-09「なつしま/ハイパードルフィン」による相模湾(初島沖)、伊豆小笠原孤(明神海丘、水曜海山)調査航海

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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