2013年06月05日

青森県・姉沼(3)未知の世界へまっしぐら

  • 期間:2013年6月3日~2013年6月5日
  • 場所:青森県東北町・姉沼
  • 目的:沼の生物の調査・研究
  • 担当:伊藤


みなさまこんにちは。
最終日、再びみんなで姉沼に向かいます。
午前中は、沼のほとりで貝の生息実態を調べます。
胴長靴をはいて、先生と私の二人で沼に入り、水温や底質を一通り調べてから、「鋤簾(ジョレン)」と呼ばれる貝の漁具で、一定区間に区切った枠の中をひたすらかき取ります。
いるわいるわ、貝だらけです。
20cm以上あるイケチョウガイやカラスガイに混じって、5~6cmのヨコハマジシラガイやドブガイがごろごろ入ります。
他の県では生息地を見つけるのも難しい絶滅危惧種の貝が、状態よく生息していることが分かりました。
午後は大学に戻り、きのうセットした実験水槽に向かいます。
うまくすれば、魚の体から離脱した稚貝が出ているはずです。
注意深く顕微鏡でチェックしていくと、ある魚種の水槽から、足を伸縮させてはい回る、妙な幼生を見つけました。
これこそイケチョウガイの稚貝です!
このように離脱したての稚貝は、大きさや形が幼生時代とほとんど変化していません。
ただし中身は大きく変化しており、大人の貝にあるような、2つの貝柱や、内臓、良く動く足ができあがっています。
「生きた稚貝の動き」と「それに興奮する先生」に学生たちも大はしゃぎです。
しばらく観察を続けながら、他の二枚貝の稚貝との判別点など確認しながら、気づけば学生さんも、のめり込んでいます。
・・・ふと時計を見ると、新幹線の時間が近づいています。
後の観察は学生さんに任せて、青森を去ることにしました。
いつもとは一風変わった日誌、クラゲも魚もほとんど出てきませんでしたが、お楽しみいただけましたでしょうか。
調査は継続していますので、また面白いことが分かったらお伝えできるかも知れません。

それでは。

姉沼を望む先生と学生たち姉沼を望む先生と学生たち

鉄アレイのような重量!巨大イケチョウガイ鉄アレイのような重量!巨大イケチョウガイ

たくさん採れた貝と貝殻を計測たくさん採れた貝と貝殻を計測

魚から離脱したイケチョウガイ稚貝魚から離脱したイケチョウガイ稚貝

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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