2015年07月30日

中部沖縄トラフ調査航海(4)4日目

  • 期間:2015年7月27日~2015年8月7日
  • 場所:中部沖縄トラフ
  • 目的:中部沖縄トラフ熱水活動域における熱水化学および化学合成(微)生物学調査
  • 担当:杉村


本日4日目?・・・ 4日目ですよね。
昨夜からのナイトダイブであまり寝ていないので、ちょっと時間の観念がずれております・・・ 。

昨夜8時30分、今回は無事潜航し調査がおこなわれました。
ハイパードルフィンが夜の海に放たれるときは、昼間とはうってかわってとてもきれいです。
海上に放たれたハイパードルフィンのライトが沖縄の夜の海を照らしています。
沖縄の海は“えのすい”のある相模湾と違ってとても青いので、ライトの周囲が白から青のグラデーションになってとても幻想的でした(画像を見てください)。

沖縄の夜に海に放たれるハイパードルフィン

ハイパードルフィンが濃い青色の海に中に消えてから1時間半ほど、水深約1500mの海底に着底しました。
泥場と岩場が続き、しばらく航行すると遠くに一部だけ白い海底が見えてきました。
バクテリアマットです。
きっと海底から硫化水素やメタンなどが湧き出しているのでしょう。
硫化水素やメタンなどをエネルギー源として生きているバクテリアたちが増殖し、コロニーを作っています。
チムニーを探してさらに進むと再び泥場と岩場が続きますが、そんな荒涼とした海底でも生物は観察できます。
意外と多くの魚類が見られ、トカゲギスの仲間、ホラアナゴの仲間、アカギンザメの仲間、クサウオの仲間、アシロの仲間などが海底や海中を遊泳していました。
その他には、海底に星のように散らばったお団子状のカイメンの仲間、サボテンのようなツリガネカイメンの仲間やヒトデの仲間などです。

その先には、本航海初のチムニーを見つけました。
まだ小さいチムニーでしたが、ちゃんと頂上からは熱水が出ていて、「ゆらぎ」が確認できました。
チムニーには多くのイトエラゴカイの仲間が巣を作り、その周りにはオハラエビやモエビの仲間がたくさん群がっていました。

マリアナイトエラゴカイ

モエビ科の1種

きょうの調査潜航で、私は初めて沖縄で生活しているシロウリガイの仲間を見ることができました。
岩の窪地のような場所に堆積した泥ではなく礫の中に数十個体コロニーを作って埋もれていて、貝の大きさは13cmほどで比較的大きな貝が多く生息していました。
こちらの方が彼らにとって、栄養価が高い海なのでしょうか。

午前4時20分、ハイパードルフィン揚収完了です。
長い夜が終わりました。
初めての訪れる場所はいつでも新しいことに出会えます。
さてまた今夜、潜航(予定)です。次はどんな新しいことがあるのか楽しみです。

ただいま午前8時30分、もう少し作業をして休みたいと思います。
それでは、またあした・・・ 眠い。


JAMSTEC(海洋研究開発機構)NT15-14「なつしま/ハイパードルフィン」による中部沖縄トラフ熱水活動域における熱水化学および化学合成(微)生物学調査

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

RSS