2019年03月05日

駿河湾底曳網採集

  • 期間:2019年3月5日(火)
  • 場所:駿河湾
  • 目的:メンダコをはじめとする深海生物の採集
  • 担当:西川


みなさん、こんにちは!
毎年駿河湾でおこなっている深海生物の採集に今年も行ってきました。
といっても私が乗船するのは今回が初めてです!
底曳網漁をしている漁師さんの船に同乗させていただき、生物を採集してきましたので報告いたします。

出航時間が朝の4時30分だったため 前日から準備しましたが、天気は雨でした。
当日も雨なのでは... と不安がありましたが朝には雨が上がり、日が昇り始めるころには快晴となり、とても気持ちの良い陽気の中で作業することができました。
船からはこんな風に富士山も綺麗に見えましたよ!


日が昇ってからでなければ網を曳いてはいけないルールなので、日の出までしばらく気合を入れながら待ちました。


日が昇り始めいよいよ網入れの開始です。
網を落とすと船が動き始め、網を曳くロープもピンと張ります。
薄暗くて見づらいですが左右にあるロープの先に網があり、少しの時間網を曳いた後、巻き上げ機を使ってロープを巻き上げていきます。
船上は左右に揺れているので、勢いよく巻き上げられているロープに絶対に触らないようにとドキドキしながら、またどんな生物が揚がって来るのかとワクワクしながら待っていました。

今回網を曳いたのは水深 180~250mで、網が上がってくるのもかなりの時間がかかりました。
そしてようやく上がってきたのがこちらです。


おお、すごい泥!
見た感じ魚たちはほぼ死んでしまっているように見えますが、この中の生物をトリートして水族館へ運びます。
さて、メンダコはどうでしょう。
トリーターは網が揚がった瞬間から目の色を変えてメンダコを探します。
メンダコには独特の臭いがあるらしく、漁師さんが揚がってきた瞬間にメンダコの臭いがするといっていました。
甲板に揚げられた状態でもパッと見た限りではメンダコがいるように見えないので半信半疑でしたが、良く探してみるとなんと3個体もいました!
さすが漁師さん、私は少しもメンダコ臭を感じることができませんでした。

因みに、漁師さんが狙うのは海底に棲むアカザエビやチヒロエビなどの甲殻類です。
船に乗せていただいているので仕分けのお手伝いもしました。
こんな感じで繰り返し網を数回曳いていきます。
結果を一つずつ紹介すると長くなってしまうので、そのうちのいくつかを紹介しますね。




薄いピンク色をしたエビはサクラエビで、群れで生活しているので一度にたくさん入りました。
水深 180m~250mのさまざまな場所で網を曳き、メンダコはなんと計7個体!
好成績でした。
たくさんの生物が網に入ると、網を上げてくる途中で押しつぶされたりエビのとげが刺さったりするのですが、今回の生物が少なかった網のメンダコの状態は良さそうで、きれいな状態で収容することができました。


次からは今までよりも浅い場所で行うので、生物の種類も全く変わります。
移動した場所では残念ながらメンダコは入りませんが、人気の魚アカグツが目当てです。


あ、空き缶!
何よりも先に目が行ってしまいました。海はきれいに利用しなければいけませんね。
このように浅場になるとエビの仲間はほとんどいなくなり、赤い魚のヒメコダイやトラ柄模様のミシマオコゼ、中央付近にある薄い黄色のもしゃもしゃしたウミトサカの仲間が増えました。
そして、アカエイやマトウダイなどの魚に混ざってアカグツがいました!
目標達成です。
と言っても漁師さんに取っていただいたものですけどね!

漁が終わった後は、予定していた生物をなんとか確保できたという達成感と、船酔いしなくて良かったという安堵感でいっぱいでした。
しかし、家に帰るまでが遠足と同じように、水族館の水槽に収容するまでが底曳網採集です。
採集された生物をトリートしながら港へ戻り、緊張感を保ちながら水族館へ戻りました。

今回の乗船ではメンダコやアカグツ、ミドリフサアンコウ、ミカワエビ、ミノエビなどの生物を水族館へ収容しました。
7個体いたメンダコは残念ながら展示終了してしまいましたが、アカグツやミドリフサアンコウなどは展示していますのでぜひご覧ください。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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