2019年09月04日

相模湾沿岸奇妙でホントな生き物の動き

  • 期間:2019年9月4日(水)
  • 場所:相模湾沿岸各所
  • 目的:海岸動物の生息状況の把握・展示用の採集
  • 担当:伊藤


みなさま こんにちは。
まだまだ日中は暑いですが、朝夕は涼しくなりました。
久々に海に出る時間がとれたので、ひとり駆け足で、相模湾沿岸のポイントをバッシバシと回ってきました。

ポイント。
これまでに先輩から教わったり、自分で見つけたりした観察や採集に適したポイントがいくつか頭の中にリストアップされています。
時間がないときは、そんな鉄板の穴場に的を絞って、効率よく見てくるわけです。
こればっかりは、若いうちにいろいろおこなっておいて良かったと思っています。



チゴガニの巣穴

まずは干潟。すごくざっくりいって、砂や泥にスナガニ類、岩や岸壁にイワガニ類が多く生息します。
砂や泥の表面には小さな穴がぽつぽつ。
スコップでざっくりと堀りますと、穴の奥に隠れたチゴガニがわたわたと出てきます。
当館では大分うまく飼育できるようになったと思っているのですが、寿命が2年未満と短いので、たまに採集して、連れて帰ります。
開けた泥上にある大きめの穴は、ヤマトオサガニやアシハラガニのものです。
暖かい時期は隠れてもすぐに出てこれるようにか、穴の浅い部分で「隠れ不精」するものが多い気がします。
なので、穴に飛びついて、手をずぼっと差し込むと、つかめることが多いです。
たまに硬い石が埋まっていたりするので、突き指注意!です。




木登りするアカテガニ

干潟のまわりは林や草地になっており、石や漂着物がごろごろ。
こんな場所ではイワガニ類が主役になります。
今回はアカテガニとベンケイガニが多く見られました。
真っ赤でよく目立ちます。
この時期は活性が高くて立体活動しており、樹をクモのように駆け上がったり、風にたなびく草から草へ飛び移りながら移動します。
かっこいい!
素早くてあまりいい写真が撮れませんでしたが、雰囲気は伝わりますでしょうか。



海辺のツユクサ

ついでにツユクサ。
どこでも見られる雑草ですが、海辺のイメージはない方が多いのではないでしょうか。
ご覧の通り、海辺にもたくさん生えています。
当館の展示にも取り入れています。



漁港で拾ったコブヨコバサミ

お次は漁港。今回は時間もないので、船着きスロープ一択です。
漁師さんが投棄した大き目のヤドカリがよく見られますが、きょうはちょっと不発気味。中くらいのコブヨコバサミがいただけでした。
代わりにタツナミガイがごろごろいましたので、タッチプール展示用に少し持ち帰ることにしました。

展示を作るとき、野外で見た「違和感」や「なさそうであること」が、ヒントになることもあります。
今回も面白いシーンをいくつも見ることができたので、いつか展示に生かしてみたいと思います。

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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