2020年11月26日

西七島海嶺、中マリアナ海嶺・西マリアナ海嶺北部 調査航海(2)

  • 期間:2020年11月25日(水)~12月12日(土)
  • 場所:西七島海嶺、中マリアナ海嶺・西マリアナ海嶺北部
  • 目的:新たな海洋保護区(沖合海底自然環境保全地域)/管理のための深海を対象とした生物多様性モニタリング技術開発/日本周辺における沖合自然環境保全のモニタリング調査
  • 担当:八巻


航海2日目 初潜航 ホッスガイ

みなさんこんにちは!八巻です。
船に乗ると、毎朝起きたらデッキに出るのが私の日課です。
今日は水平線と雲の間から見える朝日のオレンジ色がとてもきれいでした(写真 上)。
航海2日目、いよいよ潜航日です!

実は私が起きる前から、すでに水をサンプリングする調査が始まっていました。
機会の限られている海洋調査は、できるだけ効率よくたくさんの調査を行うことができるよう、調整されているのです。
水を分析するチームの方々が中心となり、それらの作業を行っていました。



私たちは水中ロボットを使った潜航調査を行います。
記念すべき本航海の第一潜航目は、西七島海嶺の一部の海域で潜航深度はおおよそ 2,000mです。
目的は生物の観察とサンプリング、泥のサンプリングです。

今回の潜航に使用する水中ロボットは、「KM-ROV」といいます。
ROVとはケーブルで船上とつながっている水中ロボットで、船上から操作することができます。
ROVに搭載されたカメラが映す映像を船上で見ることができるため、大人数で同時に海底を観察しながら調査を行うことができるというメリットがあります。
今回も大勢の生物学者の方が乗っていますので、あらゆる専門家の“目”でリアルタイムに海底を観察することができるのです。
私はROVが潜航するときの姿が最高に格好いいと思っており、大好きです。
今回の「KM-ROV」が潜航するようすは初めて見ましたので、なおさらです。



運航チームの方々の日々の行き届いた整備のおかげで、滞りなく潜航調査が実施できるということにも感謝の言葉が尽きません。
今回は潜航しても「KM-ROV」の姿がしばらく見えており、透明度の高い沖合ならではの光景でした。



海底では多くの生き物を観察できました。
私含め、同乗した研究者の方々から生き物が登場するたびに歓声が上がり、とても楽しい潜航となりました。


今回最も気になったのはホッスガイの仲間です。


ガラスカイメンと呼ばれるカイメン類の一種で、その名の通り体がガラスと同じ物質の繊維でできています。
特に柄の部分は太い繊維になっていて、まるで光ファイバーのようです。


どうしてこのような体を持つようになったのか、不思議ですし魅力的です。
潜航が終わり、ROVを揚収した後は、サンプルを受け取り、恒例の「ソーティング」です。
ソーティングとは、まずは生きているものとそうでないものを分け、その後生物の中でも分類群ごとに細かく分けていくという作業です。
私は最初の生きているものをより分けるソーティングを行いました。
今日は海底に沈んだ木片を採集できました。海底に沈んだ木は、キクイガイ類という木に穴をあけて潜っていく二枚貝によって、このように穴だらけにされます。


このキクイガイ類の開けた穴に他の小さな生き物がすんでいます。
ですから、沈木を少しずつ割っていくと、中からさまざまな生き物が出てくるというわけです。


まるで宝探しですね!
ちなみにキクイガイ類は開けた穴の壁面を少しずつ補強しながら掘り進みますが、これがシールド工法というトンネル工事の手法に応用されたとのことですから、自然は学びに満ちていると改めて感じます。

そういえば昨日準備したベイトカメラ調査は、明後日に延期となりました。海洋調査は海況などで、予定通りにいかないこともしばしば。

明日は他の海山で同様の調査の予定です!


JAMSTEC(海洋研究開発機構)KM20-10C かいめい/KM-ROV 新たな海洋保護区(沖合海底自然環境保全地域)/管理のための深海を対象とした生物多様性モニタリング技術開発/日本周辺における沖合自然環境保全のモニタリング調査

新江ノ島水族館は、JAMSTECと深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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