2020年11月29日

西七島海嶺、中マリアナ海嶺・西マリアナ海嶺北部 調査航海(5)

  • 期間:2020年11月25日(水)~12月12日(土)
  • 場所:西七島海嶺、中マリアナ海嶺・西マリアナ海嶺北部
  • 目的:新たな海洋保護区(沖合海底自然環境保全地域)/管理のための深海を対象とした生物多様性モニタリング技術開発/日本周辺における沖合自然環境保全のモニタリング調査
  • 担当:八巻


航海5日目 にぎやかな海底 ベイトカメラ投入

みなさんこんにちは!八巻です。
今朝は昨日までの荒天が嘘のように凪いで、絶好の調査日和です。
今日は初日とほぼ同じ調査海域で、初日より少し浅い水深約 400m前後がターゲット。いよいよ楽しみにしていた、やや浅い水深での潜航調査が始まります!
深海といえども浅い水深帯は比較的生物が多く、常に目が離せないくらい楽しいのです!

KM-ROVの潜航開始は朝 8時半、9時過ぎには海底が見えてきました!
底質は硬い岩盤で、大きな岩がゴロゴロしていてとてもダイナミックです。
底にはプランクトン食の刺胞動物が多数固着していて、予想通りとてもにぎやかな印象です。
とはいえ、見たことのない海域ではどんな生物が出てくるかわかりませんので、本当にワクワクします!
一緒に潜航を見る研究者の方々もみんな潜航画面にくぎ付けで、常に誰かが「○○だ!」と叫び、船上も海底に負けず劣らずのにぎやかさでした(笑)。


このような潮通しの良い岩礁域では、固着性の刺胞動物をよく見かけます。
しかし、とてもたくさんの種類がいますので、私自身分類をいまいち理解できておらず、図鑑を見てもよくわかりませんでした。
しかし、研究者の方々と一緒に観察すると、とても分かりやすく説明してくださり、本当に勉強になります。たくさんの研究者の方々と交流する機会をもてるのは、調査航海の醍醐味の一つです。

さて、KM-ROVでしばらく進んでいくと、右側の方になにやら見慣れない白いものが見えてきました。


どの研究者の方もピンとくるものがなく、なんだろう・・・ とみな口々につぶやきながら、近づいていくと・・・
「扇風機!」と声が上がりました。


なんと、こんなところに扇風機があるとは、本当に予想外でした・・・
深海に来てまでもゴミを見てしまうのは、少し悲しい気分です。
他でもない私たち自身が地球で暮らし続けられるようにするため、環境保全に努めなければならないと改めて感じました。

そして生物の観察やサンプリングをつづけるうち、気がつくとあっという間に離底時刻の 15時 15分となってしまいました。延べ 7時間近くの潜航も本当に一瞬で終わってしまうのですから、驚きです。
KM-ROVの潜航後は、延期されていたベイトカメラの投入です!


ベイトカメラはROVの音を聞いて逃げてしまうような遊泳力の高い魚類をエサのにおいで誘引し、映像でとらえる機器です。
明日回収予定なので、何が写っているのか楽しみです!

それでは本日はここまでとさせていただきます。


JAMSTEC(海洋研究開発機構)KM20-10C かいめい/KM-ROV 新たな海洋保護区(沖合海底自然環境保全地域)/管理のための深海を対象とした生物多様性モニタリング技術開発/日本周辺における沖合自然環境保全のモニタリング調査

新江ノ島水族館は、JAMSTECと深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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