2020年11月30日

西七島海嶺、中マリアナ海嶺・西マリアナ海嶺北部 調査航海(6)

  • 期間:2020年11月25日(水)~12月12日(土)
  • 場所:西七島海嶺、中マリアナ海嶺・西マリアナ海嶺北部
  • 目的:新たな海洋保護区(沖合海底自然環境保全地域)/管理のための深海を対象とした生物多様性モニタリング技術開発/日本周辺における沖合自然環境保全のモニタリング調査
  • 担当:八巻


航海6日目 ベイトカメラ回収 テヅルモヅルとジンケンエビ

みなさんこんにちは!八巻です。
あっという間に11月も終わろうとしています。
しかし航海はまだ6日目。随分長い間行ってきたようにも思えますが、まだまだ残り日数の方が長いんです。
ワクワクが止まりませんね!

今日は時折晴れ間が覗く曇り空。
昨日と同じ海域で改めてROV調査を行い、昨日投入したベイトカメラの回収も行いました。
水中に投入した設置物を探すのは、思った以上に難しいものです。
これは実際にやってみるまで分からないものですが、私はこれまでも小型ROVや曳航体を使い、投入した設置物を探したことがあります。
設置物を投入した緯度経度だけを手掛かりに探しましたが、これがなかなか思い通りにいかないものです。
というのはそもそも、ROVの位置が分からないとどこまで探したのかわからない。また、探し物の位置が分からないと、どの方角を探したらいいのかわからない。そして海には潮の流れがあるので、設置物は投入点から真っすぐ下には落ちず、必ずずれる。すぐに思いつくだけでもこれだけの難しさがあります。
もちろんこれまでその状態でも一緒に探してくださった方々のおかげで無事発見できましたが、どうしても時間がかかってしまいます。
そこで登場するのが、やはり音響機器です。
KM-ROVにもベイトカメラにも音響トランスポンダという機器が取り付けてあり、船からの相対位置でそれぞれの位置が分かります。
さらに今回の探し物であるベイトカメラには音で自身の位置をKM-ROVに知らせてくれるROVホーマーが取り付けてあります(下写真 赤丸)。


ROVホーマーがあると、その探し物までの方角と距離が一目でわかります。
ROVホーマーからの音を頼りに近づいていくと、見えました。


右の方で光っているのが先日投入したベイトカメラです。
光って見えるのは反射板です。
反射板は本当に優秀で、透明度が悪くても反射板の光だけは遠くから視認できるので、驚きです。
遠くからは音で、近づいてからは反射板の光で、確実にベイトカメラを見つけることができました。
そして、ROVのマニピュレータを器用に操作してベイトカメラのフレームにフックをかけ、無事回収しました!


回収したベイトカメラが撮影した映像は、これから解析されます。
今回の潜航では至るところでテヅルモヅル類を観察しました(下 写真 岩の左上)。


浅海域でも同じ仲間を見かけることもありますが、名前も姿も最高に面白い動物だと思います。
とてもそうは思えませんが、テヅルモヅル類は大きく分けるとナマコやヒトデと近縁です。
間近で見ると、腕の先端がどんどん枝分かれしています。


一見ランダムに見えるこの分岐も、より効率よく空間を利用するようになっているのだとか。自然の造形美には驚かされるばかりです。
サンプリングした生物は専門家の方の研究により、種類が特定されていきます。
また、今回はジンケンエビ類をサンプリングすることができました。


深海でよく見かける生物なので、長期飼育に挑戦してみたいと思っています。
まずは水槽に移してようすを見ることにしました。

明日は調査海域がかわります。どのような生物がいるか、とても楽しみですね!


JAMSTEC(海洋研究開発機構)KM20-10C かいめい/KM-ROV 新たな海洋保護区(沖合海底自然環境保全地域)/管理のための深海を対象とした生物多様性モニタリング技術開発/日本周辺における沖合自然環境保全のモニタリング調査

新江ノ島水族館は、JAMSTECと深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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