2008年07月04日

沖縄マングローブ調査(1)マングローブよこんばんは

  • 期間:2008年6月22日〜7月6日
  • 場所:沖縄
  • 目的:琉球列島陸域生物調査
  • 担当:伊藤


みなさまこんにちは。
実はこの日誌、2週間ほど前に書いています。そうです、きのうまでつづってきた深海航海の「前日」です。

実は今回、深海生物の採集以外にもう一つの裏メニューがありました。航海の前後に琉球列島の陸域で生物を調査することです。

那覇に着いてすぐレンタカーを借りて、市内にある海岸へ向かいました。
目的は「カニ」です。
当館では現在、「発見の小窓“小さな地球”」水槽でカニを特別展示、さらに「暖かい海」コーナーの「木登りカニ」の常設展示があります。
ここはぜひとも面白い南国のカニ達の暮らしぶりを知り、展示に生かしたい・・・ !
何故か筋肉痛(数日前に何かしたかな?)のヒザを引きずり訪れた海岸は、メヒルギを中心とした塩分に強い樹木が水中に根を下ろす、いわゆるマングローブ林です。
超絶至極な光景で感激し、久々に心踊る私(航海より楽しそうなのは・・・ 気のせいです)。
視力 0.4の私の両目もこの時ばかりは回復フル回転。
目を凝らすと、泥の上でおびただしい数のシオマネキがハサミを振ってダンスしています。
近づくとサッと穴に逃げてしまいますが、こちらがじっとしているとすぐに穴からソロソロ出てきます。
シオマネキは種類によって色彩もさまざま、ブルゥの宝石をちりばめた様なルリマダラや、毒々しいほど赤いベニ、涼しげなヒメまで・・・ つい見とれてしまいます。

次に、ヒルギの根元や幹に眼を凝らすと、残像を残しながら幹の真裏へと走る何者かが・・・ 。
正体は察しがついています。
現在展示している「木登りカニ」たちです。
ヒルギハシリイワガニは最も樹上に適応したカニで、肢は真横ではなくクモのように八方に広がり、細い枝を抱え込んで「前進」できるようになっています。

フタバカクガニは形こそ普通ですが、入り組んだ樹の上へと猛スピードでかけ登っていきます。
これらのカニと追いかけっこをしていると、意外なほど頭の良い?カニの動きに驚かされます。
捕まえようと伸ばした手にフェイントをかけてきたり、逆に私の方へと向かってくると見せかけて水中に消えたり・・・
裏の裏をかくカ○ジ的な攻防を繰り広げていたら、あたりはすっかり闇の中、時間は 5時間経過していました。
体はヘトヘトです(さらにこの後、夜な夜な調査の整理を・・・ )。

乗船前からこんなで大丈夫なのか、大丈夫でなかったらこの日誌はお蔵入りさせるつもりでしたが、無事公開できて良かったです。
というわけであしたはこの12日後、下船後の石垣島のお話です。

抱卵しているヒルギハシリイワガニ抱卵しているヒルギハシリイワガニ

やっとこ捕らえたフタバカクガニやっとこ捕らえたフタバカクガニ

ヒルギにたかるヘナタリヒルギにたかるヘナタリ

太平洋

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

RSS