2009年08月08日

沖縄マングローブ調査(3) 7月26日 マングローブから上流へ

  • 期間:2009年7月24日~
  • 場所:沖縄
  • 目的:マングローブ調査
  • 担当:伊藤


マングローブでの調査をひと段落とし、今度は川の上流側へ進みます。
ところで通常、川の形は上流域(渓流)、中流域(小石ごろごろ)、下流域(深い砂泥底)、河口域(干潟、マングローブ)と徐々に環境が変わっていくものです。
しかし高低差の激しい島の河川では例外も多く、例えば、渓流からいきなり海にそそぐ、河口で水がしみ込んで海につながらない、源流で海水がわいて流れる、などです。
そんな不思議な環境ですから、そこに住まう生物もたいそう変わっているのでしょう。
渓流域の水たまりには将棋の駒くらいの巨大ミズスマシが、水面をくるくると走っています。金属のようなメカニカルな外見と精密な動き、カマキリのような脚の繰り出しは男心をくすぐります。

水際に目をやると、古代魚の化石を発見!と思いきやよくみたら「マダラロリカリア」。南米原産の外来ナマズ、いわゆるヒポプレコです。沖縄ではダムなどで増えてしまっており、そこから周りの川へも移動しているようです。姿形は面白い魚ですが、食欲旺盛なので在来生物への影響が心配されます。

マングローブ樹林には巨大な泥の柱がそこかしこにそびえます。「オキナワアナジャコ」が作った巣穴です。
本種のほかにも多くの生物が隠れ場所として利用しています。

樹の幹をよーく見ると、不思議な形の巻貝がツノを出して動いています。干潟のカタツムリ「シイノミガイ」や「オカミミガイ」たちです。彼らは干潟の海産巻貝と違い、微妙に水には浸からない、日陰のじめじめした幹の根元を好みます。殻は堅くてコロコロしていてまるでドングリでも触っているかのようです。

どれもこれも大変に魅力的な生物たちです。
いつか、彼らの魅力を水族館から引き出してお見せできる日を楽しみに、彼らの暮らしぶりを目に焼き付けておくことにします。

私の指につっこみを入れる「オキナワオオミズスマシ」私の指につっこみを入れる「オキナワオオミズスマシ」

流れ着いた「マダラロリカリア」流れ着いた「マダラロリカリア」

「オキナワアナジャコ」の巣穴「オキナワアナジャコ」の巣穴

オヒルギの根元にくらす干潟のカタツムリたちオヒルギの根元にくらす干潟のカタツムリたち

太平洋

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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