2018年11月16日

沖縄トラフ伊平屋北海丘深海調査航海(2)航海日誌 2日目

  • 期間:2018年11月15日~11月20日
  • 場所:沖縄中部トラフ
  • 目的:多系統群から探る普遍的な極限環境適応機構の解明 / 悪玉細菌群の制御を目的をした広宿主性ウイルスの探索
  • 担当:杉村
「かいこうMk‐lV」: まるで、○ンダ○のカタパルトデッキのよう?!「かいこうMk‐lV」: まるで、○ンダ○のカタパルトデッキのよう?!


調査航海2日目です。
いよいよ、本格的な深海調査が始まります。
本日は、私の所属しているグループの潜航日です。

潜航調査場所は、沖縄トラフ伊平屋北海丘です。
ここは、3年前の航海でも潜航した場所で、水深が約 1,000mの地点です。
朝、少々風が強く船は揺れていましたが AM 9:00には、予定通り無人探査機「かいこう」は沖縄の海の中に消えていきました。

水深 1,000mの海底に着くまでの約 1時間の間には、クシクラゲやクダクラゲの仲間をいくつか見かけることができました。
水深が 700mを超えた辺りからハダカイワシの仲間でしょうか、ぽつり、ぽつりと出会うこともできました。

しばらくすると司令室のメインモニターにうっすらと山のようなシルエットと斜面を覆った白い大きな塊が見えてきました。
この海域には巨大なチムニーが 3つほどあり、その一つに到着したようです。
運航長が「ビークル、着底! 水深996」とコールします。

チムニーの斜面を覆っている白い大きな塊は、ゴエモンコシオリエビの大群落です。
群れの中や周辺部には、貝殻が黄色く縁取られたシンカイヒバリガイの仲間やオハラエビの仲間が見え隠れしています。
よく見るとユノハナガニも数個体観ることができました。
熱水噴出孔近くには、別の種類のオハラエビの仲間も群れで集まっています。
この海域のオハラエビは、数種類確認されていて、同じチムニーで生活していながら、その生活場所はちゃんと分かれているところが面白いですね。

巨大なチムニーの先端には、200℃を超える熱水が噴き出して、白く沸騰しています。
このチムニーの中腹を観察していると、所々に軒のように張り出した部分があります。
“フランジ”と呼ばれるもので噴き出した熱水が他のチムニーに当たり、熱水に含まれている海水によって冷やされた金属などが固まって、徐々に外側に張り出してできていきます。
フランジの下の部分には熱水が溜まり、ROVのライトに当たって鏡のようにキラキラと輝いて、とても綺麗です。
チムニーのふもと付近には、タラバガニ科の仲間もみられ、何かを物色しているようでした。

沖縄の熱水水噴出域は小笠原の熱水噴出域に比べると、とてもアクティブで生き物も豊富です。
これには、いつみても感動しますね。
深海トリーターの醍醐味といったところでしょうか。
ここ沖縄には、シロウリガイも居るはずなのですが残念ながら今回は発見できず・・・ ですが、チューブワームのなかなか大きな群生地を見ることができました。

久しぶりの沖縄は、やっぱり良いですね!
また、水族館でゴエモンの飼育をすることができます。
今度は、より多くのゴエモンたちが1日でも長く飼育できるように、そして研究に役立てるように、“えのすい”の深海チームみんなで頑張りたいです。
水族館へ帰るまでは、まだ 1週間ほどありますが、まずは船の上で頑張ります!

それでは、またあした。


朝の沖縄トラフ: 海しかない・・・


司令室のようす: 結構広いけど寒い・・・


JAMSTEC(海洋研究開発機構)KR18-15「かいれい」/「かいこう」 「多系統群から探る普遍的な極限環境適応機構の解明/悪玉細菌群の制御を目的をした広宿主性ウイルスの探索」を目的とした調査航海

新江ノ島水族館は、JAMSTECと深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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