2020年12月10日

西七島海嶺、中マリアナ海嶺・西マリアナ海嶺北部 調査航海(16)

  • 期間:2020年11月25日(水)~12月12日(土)
  • 場所:西七島海嶺、中マリアナ海嶺・西マリアナ海嶺北部
  • 目的:新たな海洋保護区(沖合海底自然環境保全地域)/管理のための深海を対象とした生物多様性モニタリング技術開発/日本周辺における沖合自然環境保全のモニタリング調査
  • 担当:八巻


航海16日目 あこがれの深海魚 マルチプルコアラ―

みなさんこんにちは!八巻です。
ついに潜航日は今日と明日を残すのみ。明日はベイトカメラの回収ですので、しっかりと長時間潜航するのは今日が最後です。
あっという間で本当に寂しいものです。

今日は昨日と同じ調査海域で、水深 2,000m帯の観察・サンプリングを行いました。
今回の海底は久しぶりに底泥がしっかりと積もっており、ずっとできなかった採泥を行うことができ、上々な滑り出しでした。
とはいえ、生物量はとても少なく、昨日見た山頂の光景が嘘のようです。
時折、刺胞動物や棘皮動物、また少量の魚類がみられるだけで、いかにも深海という景色が広がっています。


今回の調査が始まった時、同乗した魚類の研究者の方と雑談をしていました。
「やっぱり深海魚といえば、ナガヅエエソとかオオイトヒキイワシですよね。一度でいいから見てみたいですよね!」と。
深海では広く知られている魚種ですが、観察例はそれほど多くありません。
もちろん私自身も見たことがありません。
三脚魚とも呼ばれるこの種の魚は、私が小学生のころから図鑑で繰り返し見ては、絵を描いたりしてあこがれていた、そんな魚です。
単調な砂泥底が続き、しばらく進んだその時、何やら向こうに海底から白いものが立っています。


1本ではなく、複数本に見え、最初はウミユリなどが何本か立っているのかもしれない、そう考えていました。
しかし近づいていくと、1本、2本、3本!?魚!??
その時、魚類の研究者の方が叫びました!
「オオイトヒキイワシだ!」
「いた!本当にいたー!」
私も思わず叫び、彼と肩を叩きあって喜びました!
なんと、本当に出会えたのです。憧れの深海魚、オオイトヒキイワシに!
昔図鑑で見た通り、尾びれと胸びれを使って海底からすっと立ち上がっています。


その美しい姿はいくらでも見ていられる、この世のものとは思えない美しさでした。
20分ほど観察をして、オオイトヒキイワシとはお別れしました。
興奮冷めやらぬなか、サンプリングも完了し、今日は少し早めに潜航が終え、離底しました。
潜航の後は、ついに満を持して登場、マルチプルコアラ―による底泥のサンプリングです!


この調査機器は先日紹介した ROVを使って採泥する道具とは異なり、何本ものコアを同時にサンプリングできる優れモノです。
しかし本航海ではなかなか出番がなく、ようやく今日、出番が回ってきたわけです!
調査機器はいろいろとみてきましたが、この機器が動いているのは初めて見ました。
夕方暗くなり始めたころ、無事採泥終了し、今日は最高の一日となりました!


明日はいよいよ本当の調査最終日です!


JAMSTEC(海洋研究開発機構)KM20-10C かいめい/KM-ROV 新たな海洋保護区(沖合海底自然環境保全地域)/管理のための深海を対象とした生物多様性モニタリング技術開発/日本周辺における沖合自然環境保全のモニタリング調査

新江ノ島水族館は、JAMSTECと深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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